コンビニの店舗数は全国で58000店舗を超えていますが、ISOの認証取得企業はそれに近い数の取得企業が存在します。
しかし、コンビニの用途や利用方法は認識している人が大多数だが、ISOへの関心や普及率は未だに低い状態です。
また、既に取得している企業であったとしても、実施者が内容を分からず、効果的に運用できていないケースが多く見受けられます。
世界のあらゆる標準や基準を定めるISO。名称は聞いたことはあるものの、ISOがどのような団体なのかよく知らない人も多いでしょう。ISOをこれから取得するという方は、まずISOの概要を理解することが大切です。
そこで、ISOの基本的な情報を分かりやすく解説します。ISOがどのようなものでどのような種類があるのかを説明します。
ISOとは
ISOとは、スイスのジュネーブに本部がある民間機関のことです。正式名称は「International Organization for Standardization」であり、日本語では「国際標準化機構」になります。
そもそも国際標準化機構とは、その名の通り、世界の標準(規格)を決める団体です。例えば、案内標識や看板、長さや質量、時間を表す単位、コンセントやプラグなどが挙げられます。これらを国際的に標準化することで、私たちは世界中どこにいても不便なく生活することができるのです。
また、マネジメントシステムを対象とする規格も存在します。食品に関しては、商品の品質やサービスを統一化することで安全・安心なものを消費者や顧客に継続的に提供することが可能です。しかし、ISOで定められた規格で商品やサービスを提供していることを証明するにはISO認証が必要になります。
この世界基準のモノサシである規格を会社の仕組みに取り入れることが、「ISO規格を導入する」ということになります。
ISOは会社に決まりごとを作るところから始まります。「ルール(Plan)」を作って文書化し、きちんと「実行(Do)」しているかを第三者に「証明(Check)」してもらい、「改善(Action)」を続けていくことで、企業に導入されたISO規格は初めて成り立ちます。
取扱っているISOの種類
ISO規格にはさまざまな種類が存在しますが、人気の高い代表的なマネジメントシステム規格を紹介します。
どのISO規格を選ぶかは会社の目的次第なので、それぞれの特徴をしっかり理解して検討してください。
ISO9001(品質)
ISO9001は、高い品質の商品やサービスを提供することを目的としたマネジメントシステムです。ISO9001を取得することで、業務効率の改善や組織体制の強化を図れたり社会的な信頼や顧客満足度を向上させたりする効果を得られるのが特徴。マネジメントシステムの中では最も普及している規格で、全世界で170カ国以上、100万以上もの会社や組織が利用しています。
ISO14001(環境)
近年社会的に注目度の高い環境問題に取り組み、環境パフォーマンスを向上させることを目的としたマネジメントシステムがISO14001です。規格の目的は、環境パフォーマンスだけでなく、会社が掲げる環境目標をしっかり達成することもISO14001の要求事項として定められています。環境リスクの低減や回避はもちろん、エネルギーや資源を効率よく使うことでコスト削減の効果も期待できるマネジメントシステムです。
ISO45001(労働安全衛生)
ISO45001は、会社で働く従業員が安全な労働環境で働けることを目的としたマネジメントシステムです。2018年3月に発行された新しい国際規格であるため、世界的にも大きな注目を集めています。
規格に従って労働環境を整備することで、従業員のモチベーションや満足度が高まったりパフォーマンスが向上したりするなどの効果が期待できるのが特徴です。新しい規格ということもあり取得している会社もそう多くはないので、ISO45001の認証を受けることで他社との差別化も図れるでしょう。
ISOを取得するメリット
取引に活かせる
一番のメリットとしては、「取引先からの要求で今後も継続して取引するためには取得が必要」や「公共事業の入札加点や参加条件にISO認証が必要」などのように、外部要求や取引条件を満たすことによって、取引・売上に繋げることができる点です。
また、認証を取っていることによって、サービスを探している企業や委託先を探している企業の選定基準をクリアできるケースもあります。
対外的アピール
ISO規格の取得は、国際基準レベルでの管理をおこなっているという第三者機関の証明であるため、取引先や顧客からの信頼を得たり、取引を優位に進めたりすることに繋がります。また、それにより、ライバル企業との差別化を図ることにもなります。
ISO認証を受けた会社は、その規格のマネジメントシステム通りに実行している証拠でもあるため、ISO認証は信頼・信用へと繋がります。
社内改善(社内整備、業務効率化、従業員意識向上)
マネジメントシステムを作ることで、仕組みやルール、責任や権限を明確化します。「どこで、誰が、何をしているか」を可視化し、社内整備や業務効率化、監査の簡略化へと繋がります。
ISOを取得したその先に、各部門の全従業員が認識・認知して自覚や責任などの意識を向上させる必要があるだろう。
また、会社としての目標や役割、責任の所在が明確化することで、従業員も目指すものが明白となるため、仕事に対する意識や責任感、コンプライアンス意識、さらには従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上する点もメリットのひとつに挙げられます。
品質レベルの向上
オートメーション化していない工場では、ほぼ全工程が属人的であり、人が関わることが想定されます。そのため、あらゆる原因がヒューマンエラーになってしまう可能性があります。とりわけ、製造業においては、品質不良に繋がる要因になります。
品質不良の対策は、極力ミスが起きない環境を作り出すことが大切です。具体的には、ルールや体制の構築、システム導入などが挙げられます。
現状を見直し、対策を講じることによって、出荷検査で不良品が検出できずに出荷されて市場に出てしまった製品である「クレーム」だけでなく、社内の検査で発見された不良品である「工程内不良」までも削減することができます。
結果として、材料が高騰している中でのコスト削減や工数削減などのメリットにも繋がります。